コンテンツにスキップ

CorelDRAW

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
CorelDRAW
開発元 コーレル
最新版
2026 / 2026年4月7日
対応OS Microsoft Windows, MacOS
種別 Vector graphics editor
ライセンス プロプライエタリ
公式サイト コーレル株式会社
テンプレートを表示

CorelDRAW(コーレルドロー)は、コーレル株式会社が開発、販売するベクトル画像編集ソフトウェアである。

概要

[編集]

1985年に、マイケル・コープランド博士が、インテルベースのDTPシステムを販売するためにCorelを設立。1987年にエンジニアであるミシェル・ブイヨンとパット・バーンを雇用し、プロジェクト発足、1989年に発売したのがCorelDRAWである。

ベクトルデータを扱うDTPソフトであり、ベジェ曲線や図形、写真等を駆使してポスターや小冊子、企画書などを作成する用途によく使われる。

対応プラットフォームはWindows、MacOS。Mac向けは2001年のバージョン11を最後に長らく発売されていなかったが、2019年におよそ18年ぶりのMacOS版としてバージョン2019がリリースされた。Linux版もバージョン9までは販売されていたが、現在は販売されていない。

Ver.1の開発コードネームは「Waldo(ウォルドー)」といい、帽子をかぶったその名の男性がマスコットキャラクターであった。パッケージデザインとソフト起動時の画面には、もともとコーレルのシンボルマークでもあった気球が用いられていたが、Ver.8から女性やペンなどに変わり、2006年に発売されたVer.X3は「カルロス君」というカメレオン(尻尾が渦を巻いており、徐々にベクトル画像になっているもの)になったりしたが、Ver.X4で再び気球になり、バージョン2018でもパッケージには気球が描かれている。

同種のソフトとしてAdobe Illustrator、日本では花子などがある。

特徴

[編集]

CorelDRAWの特徴として以下が挙げられる。

  • 幅広いファイル形式への対応: DXF (AutoCAD) 形式や AI (Adobe Illustrator) 形式、PSD (Adobe Photoshop) 形式、PDF、WebP など、100種類以上のグラフィックス、出版、画像ファイル形式の入出力に対応している。
  • 寸法線ツールの標準搭載: 縮尺(尺度)やオブジェクトの長さを自動計測して表示する「寸法線ツール」が標準機能として搭載されている。CADソフトとの親和性が高く、図面、テクニカルイラストレーション、製造・サイン(看板)業向けのデータ作成に広く利用されている。
  • 統合された複数ページ管理機能: ドキュメント内に、異なるサイズや方向のページを無制限に含めることができるマルチページ機能を初期から統合している。ページごとの独立性が高く、DTPソフトのように冊子やパンフレットのレイアウトデザインが容易に行える。
  • 外部データの埋め込み(OLE対応): Object Linking and Embedding (OLE) 機能に対応しており、Microsoft Excel などの他アプリケーションで作成された表やデータをドキュメント内に埋め込むことが可能である(※Windows版の機能)。
  • 柔軟なライセンス形態:3つの購入方法がある。毎年費用が発生する【サブスクリプション版】、一回限りの支払いで利用可能な【永続ライセンス(一括払い)版】、企業・官公庁・学校用の【ライセンス版】。ユーザーの利用環境に応じた選択が可能である。
  • マルチプラットフォーム: もともとWindows専用ソフトウェアだったが、2019年以降はmacOS版が正式に復活。さらに、iPad版アプリやWebブラウザ上で動作する「CorelDRAW.Web」も展開されており、環境を選ばずにベクターグラフィックスの編集・閲覧が可能となっている。
  • 公式の学習リソース: 初心者からプロフェッショナルまでスムーズに導入できるよう、公式のチュートリアル動画やスタートガイドなどの学習リソースが提供されている。
  • TrueTypeフォントのエクスポート: バージョン4より、作成したベクターグラフィックをTrueTypeフォント(.ttf)形式で書き出す機能を備えている。ただし、フォント作成専用のソフトウェアとは異なり、書き出したフォントファイル自体に高度なカーニングペア(特定の文字の組み合わせに応じた間隔調整データ)やOpenTypeフォントとしての複雑な属性を埋め込む機能には対応していない。

バージョン遍歴

[編集]
バージョンX3(2006年8月4日)
40以上の新機能の追加
  • 星形・多角形ツール、スマート塗りつぶしツール、ベベル効果、切り抜きツール、境界線の作成、インタラクティブなテキストパスの結合ツール、PANTONEカラーパレットの強化(印刷カラー分解時にCMYKに変換されなくなった)、オーバービュープリント(的確な印刷用オブジェクトのプレビュー)など。
バージョンX3 Plus(2007年8月3日)
最新アップデータが適用されたVista対応版。初回数量限定でオフィシャルガイドブックが付属していたり、素材大手のDesignEXchange のダウンロード優待価格サービスなどが付属されていた。
バージョンX4(2008年8月15日)
テーブルツール、ページごとのレイヤー機能、テキストのライブプレビュー(フォントをポインターで選択すると、リアルタイムで文字が変わっていく)段落テキストのミラー化
バージョンX5(2010年9月10日)
新規ドキュメントダイアログ、属性スポイトツール、イメージパレット、Bスプラインツール、直線コネクタ、丸型の角(スカラップ、丸型、面取り)、ピクセルプレビュー、カラーダイアログの強化(スポイトツールが搭載、16進数カラー値で選択可能に)、「カラー校正の設定」ウィンドウ、「Webにエクスポート」ダイアログで透過PNGなどが作成しやすくなった。VSTAとの統合も行われ、ダイナミックアドインを作成できるようになった。機能強化はメッシュ塗りつぶしツール、曲線ツール、セグメント寸法線ツールなど。
バージョンX6(2012年8月24日)
Windows 8 64bitネイティブ、マルチコアCPU対応。オブジェクトプロパティのウィンドウの再構成、ベクトルデータの整形ツール(塗り付け、旋回、引き付け、反発)、クリップマスクの作成、カラーの調和(色のバランスを保ったまま別の配色を試すことができる)、カラースタイルパレット(ベクターで構成されたグループを選択し、特定の色を任意の色に変更できる。100個バラバラの赤だけを緑に変更する等が可能になった)、マスターレイヤー機能、ページ番号付け、整列ガイド(リアルタイムで変動するガイドライン)、インタラクティブフレーム、プレースホルダ テキスト、OpenTypeのサポート
バージョンX7(2014年5月23日)
インターフェイスの一新。塗りつぶしの編集ダイアログボックス、グラデーション塗りつぶし、塗りつぶしピッカー、塗りつぶしの作成、ベクタオブジェクトのスムース化、ウィンドウ枠のカラーのカスタマイズ、作業領域、QRコード作成機能、補色の検索、オブジェクトの輪郭配置、オブジェクトスタイルのプレビューなど
バージョンX8(2016年3月16日)
リアルタイムスタイラス(RTS)の対応、オブジェクトの表示/非表示、5Kディスプレイ対応、マルチモニタ対応、Windows 10最適化、デスクトップカラーのカスタマイズ、UIの自由度の向上(アイコンサイズは最大250%)ガウスぼかしのドロップシャドウ、
バージョン2017(2017年4月12日)
LiveSketchツール(人工知能(AI)による、スケッチを正確なベクトル曲線に変更)、スタイラス機能の向上、カスタムノード(曲線、図形の各ノードタイプに一定の図形を割り当てることが可能に。)インタラクティブスライダ(透明度やブレンド、押出、ドロップシャドウ、押し出し、等高線などの作業時に便利)
バージョン2018(2018年4月20日)
対称描画モード(万華鏡・左右対称などのデザインの自動化)、ブロックシャドウツール(影をベクトルで作成)、整列/配置ノード、図形の罫線の、破線や輪郭の角の調整機能、インパクトツール(ベクトルオブジェクトとして勢いのある線を追加)、Postillzer(画像・図形からトーンのような点描画像に変換)、PhotoCocktail(画像からモザイクタイルの作成)、写真の傾き・遠近をインタラクティブに補正。ビットマップにエンベロープを適用、WordPressへのアップロード機能。
バージョン2019(2019年3月12日)
MacOSをサポート、MicrosoftストアとMac App Storeでの販売開始(サブスクリプション契約のみ)、オブジェクトウインドウの機能強化、Web用グラフィックス向けのピクセルパーフェクトなグリッド、非破壊的なピットマップ効果をベクターに適用、強化されたテンプレート機能、PDF/X-4への出力、ユーザーインターフェイスの改善、パフォーマンスの改善、ブラウザから利用可能なWebアプリ版「CorelDRAW.app」。
バージョン2020(2020年3月26日)
PowerTRACEにAIを搭載、アートスタイル効果、ベクターフェード、内側のシャドウツール、ビットマップ効果レンズ、アップサンプリングオプション(AIをつかった高解像度化)、JPEGアーチファクトの除去、PHOTO-PAINTに非破壊効果、スマート選択マスクツール、バリアブルフォント対応、番号付きリスト、コメントドッキングウィンドウ、コラボレーションのワークフローなど。
バージョン2021(2021年3月9日)
マルチページビュー(ひとつの画面で複数のページを一括管理・編集可能に。)、遠近効果による描画機能(1点透視図法、2点透視図法、3点透視図法などのガイドを表示し、オブジェクトを配置可能。)、マルチアセットのエクスポート(ページやオブジェクトのアイテムのリストを作成し、ワンクリックでエクスポート。)、CorelDRAW.app(iPadやブラウザでCorelDRAWを利用可能に(一部の機能))、注釈機能(CorelDRAW.appにアップロードし共有することで、非ユーザーからコメントを書き込んでもらうことが可能に。)その他、カラー置換機能の強化も行われた。[1]
バージョン2022(2022年3月9日)
新規作成ダイアログの刷新(新規ドキュメント作成画面で通常の文書作成と各種テンプレートをタブで切替可能に)、WebP形式対応、エクスポートワークフローの強化: エクスポート用ウィンドウ(ドッカー/インスペクタ)内で、アセットや複数ページの名前を直接変更できるようになり、ページ境界でのアートワークの切り抜き(クリップ)出力などが可能になる。ビットマップ調整機能の強化(PHOTO-PAINTの非破壊的なカラー調整機能がCorelDRAW本体の「プロパティ」ウィンドウ(FXタブ)にも統合され、ベクターデータ内の画像に対して直接エフェクトや調整プリセットを適用できるようになる。最新環境への最適化(Windows 11のユーザーインターフェース(UI)にマッチしたモダンなデザインへと刷新)、複数ページプレビューの高速化、最新OS(macOS Monterey等)への最適化が行われた。[2][3]
バージョン2023(2023年3月8日)
可変アウトラインツール(1つのパスの途中で線の太さを自由に変化させ、直感的に強弱を表現できる機能)、Pantoneカラーパレットの更新(追加料金なしで最新のPantoneカラーを使用できるように統合)、クラウドフォント連携(Google Fontsと直接連携し、約1,400以上のフォントファミリーをアプリ内から直接プレビュー・適用可能に)などの機能強化が行われた。[4]
バージョン2024(2024年3月6日)
ペインタリーブラシツール(Corel Painterの技術を応用し、ベクターのパスに対してピクセルベースの手描き風テクスチャや混色表現を直接適用できる機能)、フォントリモートプレビュー(インストールしていないクラウドフォントも含めてフォント一覧からリアルタイムに外観をプレビュー可能に)、効果ドッカーの刷新(非破壊エフェクトを一括管理する画面のワークフローが再構築され、重ねがけや順序入れ替えが容易に)などが搭載された。[5]
バージョン2025(2025年3月27日)
ペインタリーブラシの拡張(新たなブラシセットの追加や太さ・不透明度のコントロールが進化)、AIによるベクタートレースの向上(画像自動変換機能「PowerTRACE」に最新のAIモデルが組み込まれ、低解像度画像からでも滑らかなベクターラインを生成可能に)、WebP・PDF/X-4への対応強化(WebP出力時の圧縮最適化、および印刷業界標準規格の出力互換性向上)など、ワークフローの改善が行われた。[6]
バージョン2026(2026年4月7日)
アーティスト・インテリジェンス(AIグラフィックス機能)の統合(テキスト指示(プロンプト)から画像を生成する「AI画像生成」や、選択した画像を元にAIで生成し直す「AI画像リミックス」の搭載)。モダンUIへの刷新(高解像度モニターやダークモードに最適化されたフラットデザインへ移行)、パフォーマンスの最適化(大容量・複数ページドキュメントの描画速度および起動・保存処理の高速化)が実施された。[7]


統合パッケージ(スイート構成)

[編集]

CorelDRAWは単体でのソフトウェア販売は行われておらず、写真編集やフォント管理などの関連アプリケーションを一つにまとめた統合パッケージ(製品スイート)として提供されている。

最上位版の「CorelDRAW Graphics Suite」には、主に以下のアプリケーションやツールが同梱されている。

  • CorelDRAW: ベクターイラストレーションおよびページレイアウト(本体)
  • Corel PHOTO-PAINT: ビットマップ画像編集およびピクセルベースのデザイン
  • Corel Font Manager: フォントのインデックス化および管理ツール
  • Corel CAPTURE: 画面キャプチャツール(※Windows版のみ)
  • CorelDRAW.WEB: WebブラウザやiPadで動作する、クラウドベースのベクターグラフィックス作成アプリケーション

このように、ベクターデザインだけでなく、写真編集からフォント管理までをトータルで行えるデザイン環境として構成されている。

派生・廉価パッケージ

[編集]

製品ラインナップには、最上位版である「Graphics Suite」のほか、機能を絞ることで価格を大幅に抑えた下位パッケージが展開されている。これらも同様に、各エディションに応じた機能制限版のPHOTO-PAINTなどが同梱されるスイート形式を採用している。

CorelDRAW Essentials
初心者やエントリーユーザー向けに提供されている低価格版。Graphics Suiteに比べ、ペンツールをはじめとする各種ツールに制限があるほか、AI (Adobe Illustrator) 形式の入出力に対応していないなど、対応ファイル形式も限定的である。また、収録されているフォントや画像素材の数も抑えられている。
CorelDRAW Standard
「Essentials」と「Graphics Suite」の中間(ミドルレンジ)に位置づけられるエディション。趣味での利用やホームビジネス(個人事業主など)を対象としており、Essentialsよりも機能が多く、より高度なイラストレーションや写真編集が可能となっている。

脚注

[編集]
  1. ↑ “CorelDRAW Graphics Suite 2021 がリリース、コラボレーション機能の追加やiPadに対応など”. CGinterest. 2026年5月23日閲覧。
  2. ↑ “CorelDRAW Graphics Suite サブスクリプション向け 最新アップデートを発表”. NEWSCAST(コーレル株式会社) (2022年3月9日). 2026年5月24日閲覧。
  3. ↑ “CorelDraw Graphics Suite Review”. PCMag (2022年3月24日). 2026年5月24日閲覧。
  4. ↑ “CorelDRAW Graphics Suite gets new Variable Outline tool, 200 templates, one-time purchase option”. 9to5mac (2023年3月10日). 2026年5月24日閲覧。
  5. ↑ “グラフィックデザインソフトの最新版「CorelDRAW(R) Graphics Suite 2024」「CorelDRAW(R) Essentials 2024」3月6日(水)新発売”. KADOKAWA ASCII Research Laboratories, Inc. (2024年3月6日). 2026年5月24日閲覧。
  6. ↑ “プロも愛用する統合デザインソフトの最新版「CorelDRAW Graphics Suite 2025」3月27日(木)新発売”. KADOKAWA ASCII Research Laboratories, Inc. (2025年3月27日). 2026年5月24日閲覧。
  7. ↑ “CorelDRAW Graphics Suite 2026、4つのAI機能を搭載して日本上陸—買い切り型デザインソフトの新時代”. innovaTopia (2026年5月7日). 2026年5月24日閲覧。

外部リンク

[編集]